ホリスティック・アロマセラピーの先駆者ビンゲンのヒルデガルトとアビラの聖テレジア(テレサ)の神秘的啓示


[聖ヒルデガルドの啓示13c]

[ 聖ヒルデガルドの啓示部分画 13c ]
 彼女の啓示によれば、肉体や精神の病気は、光り輝く蒸気や気息の流れと関係があると考えた。その流れは、星界の霊気や風の流れとして幻視したとされる。
 現代科学で言えば、星界の霊気とは、紫外線や電磁波、γ線などの宇宙線や月の潮力などの微妙な星間重力も関与しているだろう。また、突然変異の悪性ウィルス、伝染病など疫病発生のメカニズムに空気感染や風の流れは深く関わっていることは周知の通りである。
 『自然学』は、植物精油(エッセンシャルオイル)による癒し(ヒーリング)を目的としたトリートメントや芳香浴などホリスティック・アロマセラピーの重要な良き参考書となるだろう。


ビンゲンのヒルデガルト
ILDEGARDA DI BINGEN (1098-1179)


 ヒルデガルト・フォン・ビンゲンまたはビンゲンのヒルデガルト(独:Hildegard von Bingen, 英:Hildegard of Bingen, ユリウス暦1098年 - 1179年)は、中世ドイツのベネディクト会系女子修道院長。
 1098年生まれ、神聖ローマ帝国のドイツ王国、ラインラントのラインヘッセンのアルツァイ近郊、マインツ司教区ベルマースハイム(ベルメシャイム:Bermersheim)の地方貴族父ヒルデベルト(Hildebert)、母メチルト(マチルダ:Mechtild)の10番目の娘として誕生。
 幼少時代重病を患い続けた。八歳で教育を受けるためにディジボーデンベルクDisibodenberg)にあるベネディクト会系男子修道院ザンクト・ディジボードに入会し付近で庵を営む修道女ユッタ・フォン・シュポンハイム(Jutta von Sponheim)に育てられる。 聖女の教育に、ザンクト・ディジボード男子修道院の修道士フォルマール(Volmar)が加わる。
 ユッタが同敷地内に女子修道院を設立し、修道院長に就任し、1115年にヒルデガルトは、修道女となる。1136年ユッタの後継として女子修道院長となる。
 ディジボーデンベルク近郊、シュポンハイム城の貴族(領主シテファン伯)出身。ケルン司教区の大司教フーゴー・フォン・シュポンハイム(de:Hugo von Sponheim)は、聖女の兄弟。
 1141年、神の啓示を受け、フォルマールと腹心の修道女リヒアルディス・フォン・シュターデ(Richardis von Stade)に支えられ、『道を知れ(Scivias)』の執筆を始める。
 自らの幻視体験は、その後、聖女自身の言葉「生ける光の影」(umbra viventis lucis)を初めて公けに表明する。
 この頃から聖女の幻視体験が、マインツ大司教ハインリヒの知るところとなる。
1147年、クレルヴォーの大修道院院長、当時非常に大きな影響力を持っていた聖ベルナール(クレルヴォーの聖ベルナルドゥス)に助言を求めて書簡を送る。
 同年、教皇エウゲニウスV世によって開かれたトリーア公会議において、ヒルデガルトの幻視体験:世界の終末と最後の審判を幻視したとされる内容は、マインツ大司教ハインリヒによって話題となる。
 教皇エウゲニウスV世の耳に入り、教皇使節が聖女のもとに派遣される。そして、執筆途中の『道を知れ』を持ち帰り、公会議上で披露され、多くの人に感銘を与えたと言われる。
 この時同席していた聖ベルナールの取り成しもあって、教皇より激励の手紙と執筆の認可が正式に聖女に与えられ、聖女の名が広くヨーロッパに知られるようになる。

 ヒルデガルトは、画家、音楽家、劇作家、伝記作家、神学者、説教者、言語学者、詩人、神秘主義者、幻視者、ヒーラーというさまざまの顔を持つ。
 神秘家であり、40歳頃に「生ける光の影」(umbra viventis lucis)の幻視体験(visio)をし、女預言者とみなされた。
 50歳頃、聖女の名声によって各地から修道女が多く集まったため、ビンゲン近郊のルペルツベルク(Rupertsberg)に新しい女子修道院を建設して移り、 自己体験を書と絵に残した。
 ヴィジョン幻視体験は、40歳代の『道を知れ(Scivias)』で初めて示され、その挿絵は、三位一体を象徴的に表現している。また、序文には5歳頃から体験している内容が述べられている。
 『道を知れ(Scivias)』の中で、幻視体験が興奮状態(トランス)や瞑想状態ではなく、実に意識がしっかりしていて周囲の状況が分かっている正常な覚醒状態で生じ、ヴィジョンを受けている時も周囲で起きている現実の事象を同時に知覚していると述べている。
 この幻視体験をVisio(ヴィシオ、英:ヴィジョン、日本語:幻視)という言葉で表現している。 聖女は、ギベールへの書簡で次のように幻視を記述している。
 「生ける光の影」(umbra viventis lucis)が現れ、その光の中に様々な様相が形となって浮かび上がり輝く。炎のように言葉が彼女に伝わり、また見た物の意味付けは一瞬にしてなされ、長く、長く記憶に留まる。
 別の「生ける光」(Lux vivens)がその中に現れる事があるが、それを見ると苦悩や悲しみがすべて彼女から去ってしまい、気持ちが若返る。
 これらの幻視が示す内容は、キリスト教に関わる事柄であり、聖女の基盤となったベネディクト会の規範の範疇で解釈され意味付けがなされている。
 また、これらを表した幾つかの絵画に見られるように非常に象徴的であり、中世修道会のもつ神秘主義的な面が強く表現されており、後の体系化されたスコラ哲学と対比される。

 『道を知れ』の挿絵は、教会の処女性を示し、「教会」(エクレシア:ecclesia)という概念に対してマリアの処女性と照応し、非常に強い関心を表している。
 「教会は神と一体であり、我々はその愛情に包まれている」という修道会特有の考え方に対して大きな共感をもっていた。聖女はマリアの処女性を投影し、「キリストの花嫁」を強調して、「教会」は一層女性的な性格を帯びることになる。黙示録には、「キリストの花嫁」として端的に表されている。神の光の反映、目に見える姿は、着飾った花嫁であり、神を映すよすがが、神と一体となる教会(花嫁)なのであり、聖母マリアの純真無垢なる処女性を投影する。
 聖ウルスラ(en:Saint Ursula)に関する聖歌が多い。ケルンの守護聖人聖ウルスラを女子修道院の象徴としたのは、ヒルデガルトが、聖女の処女性と殉教者という事に共感して多くの聖歌を作詞作曲をした。
 階層(ordo):神の世界での厳格な階層秩序(オルド)があるように人間界にも階層があることを積極的に認めている。参考;「聖ディオニシウスの天上階上論」。
 つまり、貴族と庶民が違う階級で生活するのは当然の事であるという貴族社会の考え方を修道院内でも実践していた。進歩的な他の女子修道院長から、
「融和を図るべきだ」との指摘の書簡に対し、
「神はすべての階層に等しく愛を示している。生まれつき階層が分かれているのだからそのように生きるべきだ」と、返書したとされる。
 現代人のシンデレラストーリーとは、うらはらに同レベルの気質や階層のグループ形成を認めていた。お互い背伸びをすれば、精神的に疲れる生活をしてしまうからだろう。
 結婚とは、お互い自己を無理なく自然体のままで意思の疎通と生活することのできる相手を選ぶことが肝要で、血筋や生活レベルもまた、育った環境と遺伝的影響が大きいため無視してはならない。

 医学・薬草学に秀で、ドイツ薬草学の祖とされる。聖女の薬草学の書は、20世紀第二次世界大戦時にオーストリアの軍医ヘルツカにより再評価される。才能に恵まれ、神学者、説教者、宗教劇作家、伝記作家、言語学者、詩人、女性作曲家、と中世ヨーロッパ最大の賢女と言われている。





【 主な著作 】
 「幻視体験に基づく3部作、
Scivias” 『スキウィアス(道を知れ)の書』(1141年 - 1151年;1153出版)
Liber Vitae Meritorum” 『生命の功徳の書』(1158年 - 1163年)
Liber Divinorum Operum” 『神の業(わざ)の書』(1163年 - 1173年/1174年) 」

Analecta Sacra” 『聖なる抜粋』

 「2冊の自然科学書、
Causae et Curae” 『原因と治療(宇宙論、病気の原因、薬草と祈祷による治療を解説、一般医学と天文学)』(1151年 - 1158年) 複合的な医学書
Physica” 『自然学(諸元素、樹木、貴石、地上の動物の自然史、特に植物の薬学的効果に重点:アロマセラピーに重要な文献』(1151年 - 1158年) 単純な医学書」
Vita Sancti Disibodi”『聖ディジボード伝』
Vita Sancti Reperti” 『聖ルペルト伝』
『正しい生活の書』、
『神の業の書(マクロコスモスとミクロコスモスの創造、宇宙、人間、自然世界、超自然世界、天使的美徳、神の全能、アンチ(反)キリストの時代、最後の審判)』

 ヒルデガルドの聖歌:ユッタ・フォン・シュポンハイムから合唱用伴奏楽器としてプサルテリウム(サルテリー;ツィターやチェンバロの原型楽器)の演奏の手解きを受けたとされる。
SYMPHONIA HARMONIAE CAELESTIUM REVELATIONUM”聖歌集『天からの啓示による協和合唱曲』 、1140年頃から作られ始めた宗教曲は、現在77曲が2つの写本、デンデルモンド写本(Dendermonde manuscript)、及びリーゼン写本(Riesencodex)に残されている。
劇作(典礼劇)に『美徳の劇』などがある。
CARMINA E ORDOVIRTUTUM”道徳劇『諸徳目の秩序』 1150年頃作成、『道を知れ』第3部13章(最後の章)の内容に則し、『道を知れ』に添付されたと考えられる。

 1179年9月17日、ヒルデガルトは、81歳で帰天。

★推薦図書:アロマセラピー重要文献
聖ヒルデガルトの医学と自然学:ヒルデガルト・フォン・ビンゲン著
原タイトル: Physica;ラテン語)/プリシラ・トループ英語版翻訳(原タイトル: Hildegard von Bingen's Physica;英語)/井村宏次監訳・聖ヒルデガルト研究会訳(新装版,出版:ビイング・ネット・プレス 2005.10、星雲社
【 作品紹介 】
 12世紀ドイツの聖女で中世ヨーロッパ最大の賢女とされるヒルデガルト・フォン・ビンゲンの名著 “Physica”− 『自然学;フィジカ』の本邦初訳。
本書は、全512項目におよぶ事物の薬効と毒性と利用法を記載
植物230、元素14、樹木63、石と宝石26、魚36、鳥72、動物45、爬虫類18、金属8。
ホリスティック医学の原点、中世医学、自然学、文化人類学の古典。
 第1の書 植物;
 第2の書 元素;
 第3の書 樹木;
 第4の書 石と宝石;
 第5の書 魚;
 第6の書 鳥;
 第7の書 動物;
 第8の書 爬虫類;
 第9の書 金属




アビラの聖テレジア(テレサ)
TERESA D' AVILA (1515-1582)
「天使が私のかたわらにいました。・・・美しく、ほてった顔、最も高いヒエラルキー(位階)にいるセラフィム(熾天使=神を昼夜讃美する天使隊)のひとりのようでした。・・・手に黄金の長い矢を持ち、矢じりは燃えているようでした。その矢で私の心臓を何度も刺され、内臓の奥深くまで届き、体を貫いて背後から矢が射抜かれたかと思った瞬間、私は神の無限の愛に燃やされていました。」(『自叙伝』大聖テレジア)

 1515年スペイン、カスティリャのアビラの貴族の第四女として生また。21歳の時修道院に入る。病弱だった彼女は、1539年聖母被昇天の日に終油の秘蹟を受け死んだと認められたが、父ドン・アロンソは埋葬を拒み続け、四日後、骨と皮ばかりとなった聖テレジアは完全な麻痺状態から意識を回復。1542年突如歩けるようになる。後に父の看護をし、父の死後、修道院に帰り、「完徳」の道へと修練に励んだ。
 1554年磔刑の傷を負ったイエズス・キリストが、聖テレジアに現れた。以後、祈りの度に魂の「幼虫」から「白い小さな蝶」が生まれて飛び立つヴィジョンを繰り返し見て恍惚状態となる。
 聴罪司祭たちは、彼女を隔離するが、1556年復活祭の時、聖テレジアは、「お前はもう人間たちとではなく、ただ天使たちとのみ語り合うがよい」という天からの声を聞く。
 1560年、イエズスは、彼女に再び現れ、「べルニーニ作<テレサの脱魂;恍惚>−天使の幻視」を得る。自分の使命をはっきりと自覚し、≪カルメル会≫を福音書にある祝福された清貧へと連れ戻すことによってカトリック教会内部からの改革をはじめた。(この時代は、プロテスタント改革の時代と重なる。)
1562年アビラに建立した修道院は、マリアの夫ヨセフへ捧げられた。十字架の聖ヨハネもまた、聖テレジアに共感し、聖テレジアと聖ヨハネはそれぞれ異端審問の嫌疑をかけられ投獄されるが、1581年「跣足カルメル会」は承認された。1582年10月3日衰弱した聖テレジアの前にイエズスが現れ、翌朝、帰天。聖テレジアの部屋の中には芳しい香りが漂い、庭の枯れ木に満開の花を咲かせたと伝えられる。
 彼女の心臓はアルバ・デ・トルモのカルメル会修道院に保存されている。それには天使の投矢による傷あとがあるという。1622年列聖、シェナの聖カテリナと並んで1970年最初の女性教会博士。心臓病の患者、飾り紐製造者、教会行政の手腕によって主計官の守護聖女でもある。

 主な著作『自叙伝』、『霊魂の城(1577年)』、『モラダス』、『神の愛について』、『詩』、『完徳への道(1574年)』 神との神秘的融合(合一)への愛にあふれた感情は、現代の若者に見られる人間同士の男女の恋愛とは隔絶した境地の内容であるがゆえに退廃した現代感覚に一石を投じる作品であり、若者が読むべき本と言える。恋愛とは何か?真理とは何か?フィーリングや肉欲だけで判断する現代人に真の愛と真理に目覚めて欲しいものである。


【参考文献】
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バルバロ訳聖書(講談社)

「天国と地獄の百科」/著者:ジョルダーノ・ベルティ
/翻訳:竹山博英,柱本元彦(発行:株式会社原書房)

聖なる読書と伝説「薔薇窓」:http://baramado.info/ 著者:Joanne del apocalypse







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