ハーブ・精油・薬用植物のためになるお話しNo.3 「カモミール(カミツレ,カミルレ)」


「カミツレ,カモミール」のお話
CHAMOMILE ; Chamaemelum nobile


「カモミールは、小さいけれどる神々しい、立派な花だ。昂然(こうぜん)と頭をもたげてもいないし、巨人の塔を持っているわけでもないが内に秘めたひそかな情熱を抱えている。」

― アブラハム・カウリィ17世紀の作家 ―


 12月17日の誕生花であるカモミールの花言葉は、“逆境に負けない”です。
チューダー朝時代(1485〜1603年)のイングランドでは、“謙虚さ”と“忍耐”の象徴でした。
ニコラス・カルペパーは、「カモミールは太陽のハーブだ」と、言いました。
 古代エジプト人は、カモミールを神や太陽に捧げていました。アングロ・サクソン人は、カモミールのことを“マイセン”と呼び、ラクヌンガの九つの聖なるハーブのひとつに数えていました。
 このハーブは、洗礼者聖ヨハネと関係が深く6月24日の聖ヨハネの祝日、雷鳴や稲光や強風から家を守るためカモミールの花輪を戸口に吊るす習慣があります。また、洗礼者聖ヨハネ祝日やイブ(6月23 ,24日)には、人びとが四つ辻や空き地でかがり火を焚きます。かがり火にカモミールも含めた香りのよい植物で濃い煙を燻し、人びとはこの煙の立ち上るかがり火の上を飛び越え、時には七回もくり返し飛びました。この煙には、すべての不運を取り除く跋魔力があると信じられていました。
 ヨーロッパの国々、特に田舎に住む人たちは教会へ行く時、小さな季節の花束を持ってゆく習慣がありました。カモミールは、聖アンナの祝日(7月26日)によく利用されたといわれます。
イギリス、サウス・ウェールズ地方では、家族の墓所に香りのよい花のひとつとしてカモミールを植えるのが伝統でした。

HEALING(癒しのハーブ)
 カモミールは、民間療法における主要な薬草でした。古代エジプトの神殿に隣接した“生命の家”で病人を看護することに一生を捧げた神官たちがいます。彼らは、カモミールを聖なる薬草として重んじていました。マラリヤ熱、他の熱病、風邪、さまざまな痛み、婦人病など、に処方されてきました。
古代ローマでは、カモミールが毒へビに噛まれた時の解毒剤になると信じてられていました。鎮静作用という特性により、カモミール・ティーは、長いあいだヒステリーや不眠症、消化不良、うつ病やアルコール依存症による震えなどに使われていました。
 19世紀末期頃は、マラリヤを治すキニーネの代用品にされました。また、呼吸困難で苦しんでいる結核患者のためにカモミールが、敷きつめられた花壇にすわらせてハーブの香気の中で呼吸させることが、有効であるとされました。
 ぜんそくと不眠症を治すのに乾燥させたカモミールの葉をいぶして吸入薬のように鼻から吸う方法なども用いられました。このハーブが北米にはじめて紹介されたのは、傷口が壊疽(えそ)化するのをふせぐための湿布としてでした。
 カモミール・ティーを煎じます。風呂の湯にそれを足して入れれば、筋肉疲労をやわらげます。
また、膀胱炎やカンジタ症の症状を軽くするのにも有効です。
濾(こ)して冷ましたカモミール・ティーを目のものもらいに浸します。
沸騰したお湯に、カモミールのティーバッグを何個か入れ、その蒸気を吸入すると、花粉症や鼻づまりの症状を軽くします。

材料分量
EYE SPARKLER
(疲れ目に効く薬)
カモミールの花大さじ2 ,3 杯
沸騰した湯600ml
沸騰したお湯にカモミールの花を入れ、成分を煮出します。煮出し液を冷まし、製氷トレイに注いで凍らせます。目が疲れた時に“カモミール氷”を取り出し、目の周り、まぶたの上、眉の上を優しくこするようにします。
COMFORTING SK IN CLEANSER
(肌に優しい洗顔剤)
カモミールの花大さじ2 ,3 杯
600ml
レモン果汁小さじ1 杯
カモミールと水を鍋に入れ、10分間煮ます。荒熱を取って液体を濾します。レモン果汁を加えて容器に入れ密封し、冷蔵庫に保管します。このローションをコットンに含ませて、やさしく顔や首を拭き取り使用します。




COMFORT(慰めのハーブ)
 カモミールは、家のまわりや結婚式の時にふりまかれるかぐわしいハーブです。オレンジ・ピールと一緒に煮て洗浄水の香りづけに使用されます。カモミールは、髪を軽やかにするための洗髪剤として利用されてきました。花束は、とても人気がありました。たとえばイングランドでは、何世紀ものあいだ、ハーブの花束を戴冠式に持っていくのが習慣になっていました。 1953年、エリザべスU世の即位式も女王は、カモミールの入った花束を手にしていいました。カモミールが、土手や古い薬草園の花壇に咲いているのを見ると誰しも気持ちが明るくなったと伝えられています。この花は遊歩道や芝生の上に一面咲きほこり、人びとを楽しませます。田舎で呼ばれている名前は“謙虚”です。それは、踏みつけるとよく育つという性質からきています。
 カモミールは、薬草ビールの成分ともされ、19世紀には“カモミール・ビター”というト二ックもありました。
項 目カミツレ
生薬名カミツレ (ローマカミツレ)
科 名キク科
別 名カミルレ(オランダ名),カモミール(英名)
薬用部花、茎葉
効 用発汗解熱、駆風、保温
生 態
ヨーロッパ原産の1〜2年草(ローマ種は多年草)で、草丈は50cm内外となる。茎は、枝分かれし、葉は2〜3回羽裂して裂片は短くて細い。5〜6月ころ、中心に黄色い管状花が盛り上がり、周りに白色の舌状花が囲む。花の基部(花床)が空洞なので、花床が充実しているローマ種とは区別できる。
名の由来江戸時代にポルトガル人やオランダ人によって持ち込まれ、オランダ名のカミルレと呼んだ。学名(ラテン名)からカミツレが正名。イギリスでは、ローマカミツレをカモミールと呼び、カミツレ同様ハーブ(薬草)として用いている。
用 法
開花期に花を摘み取り、陰干しにしたものをカミツレ、ローマ種はカモミールと呼び、精油(カマズレン、テルペンアルコール)などを含む。
風邪初期に、カミツレかカモミール1 日量10〜15gを煎じると発汗解熱、下痢止めに役立つ。ガスが溜まって腹が張るときの体内のガスの排出(駆風:くふう)や、寒けがして体を温めたいときなどには、カミツレかカモミール1回5g をカップに入れ熱い紅茶を注ぎ約3分後に飲む。
疲労回復、肩こり、腰痛、神経痛などには、茎葉を陰干しにし、入浴剤として利用する。



【参考文献】
『ハーブの魔術』 著者:マーガレット・ピクトン/
訳者:佐藤美保、田中瑞恵、森川由実子、山口香
(発行:株式会社作品社)


聖なる読書と伝説「薔薇窓」 http://baramado.info/ 著者:Joanne del apocalypse



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